系統用蓄電池事業概要

系統用蓄電池とは

系統用蓄電池とは、電力の生産から消費までを支える電力系統(発電所・変電所・送電線・配電設備などの総称)に直接接続される蓄電池のことです。 太陽光発電や風力発電など、天候によって発電量が変動する再生可能エネルギーの余剰電力を充電し、電力需要が高まる時間 帯に放電することで、電力の需給バランスを調整し、電力系統の安定化に寄与する公共インフラとして重要な役割を担っています。また、系統用蓄電池は、国民に約3兆円規模の負担が生じている再エネ賦課金(再生可能エネルギーの導入促進のため電気料金に上乗せされる費用)を財源とする仕組みではなく、電気料金への直接的な負担を伴わない点も大きな特徴です。

普及の背景

  1. 再生可能エネルギーの大規模導入により電力の需給バランスが崩れ、2024年には24億kWhの出力抑制(約 60 万世帯分)が発生しています。系統用蓄電池は需給バランスを調整し、電力の安定供給を可能にします。
  2. 2016年の電力小売全面自由化に伴い、電力取引市場の創設・整備が進み、3つの市場を通じた取引の仕組みが確立されています。
  3. 蓄電池技術の進化および製造コストの低下により、事業の採算性が向上しています。
  4. BCP(事業継続計画)対策として、災害時などに備えた非常用電源としての活用が可能です。
  5. 取得年度には初年度30%の大幅な減価償却が可能となっており、投資効率の向上が期待できます。

再生可能エネルギー(再エネ)

太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーは、発電時に温室効果ガスを排出しないエネルギー源であり、地球温暖化対策の推進に大きく寄与します。また、国内において安定的に生産・供給が可能であることから、エネルギー自給率の向上およびエネルギー安全保障の強化にも資するものです。これにより、化石燃料輸入への依存度を低減し、持続可能なエネルギー供給体制の構築が可能となります。
再生可能エネルギーの導入拡大は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた国の基本方針と整合する重要な取組であり、温室効果ガス排出削減に加え、エネルギーの安定供給の確保、関連産業の育成および地域経済の活性化等、多面的な効果が期待されています。
※2024年日本の総発電量に占める太陽光発電の割合は、11.4%、2050年の目標は、36%

事業概要

  1. 定義

    系統用蓄電池とは、送配電網(電力系統)に直接接続される大規模な定置型蓄電システムであり、電力の充放電を通じて需給調整機能を提供する設備です。再生可能エネルギーの出力変動を吸収することで、導入拡大を促進するとともに、電力系統の安定的かつ効率的な運用を支える役割を担います。

  2. 提供価値

    • 主構成 : 蓄電池、PCS(パワーコンディショナ)、EMS(管理システム)、変圧器、空調・防災設備
    • 規模目安 : 出力2MW(高圧)、容量6MWh~8MWh(高圧)
    • 接続形態 : 電力系統(変電所・鉄塔)へ接続、または再生可能エネルギー発電所へ併設

  3. 市場環境と制度設計の進展

    瞬時の周波数調整から長時間の需給調整まで、系統運用に必要な柔軟性(フレキシビリティ)を提供。従来の発電所に代わる調整力として機能

  4. 収益
    • マーチャントモデル :
      JEPX(卸売市場)・需給調整市場・容量市場3市場の活用
    • コントラクトモデル:
      長期脱炭素電源オークション(LTDA)※現状特高のみ 、コーポレートPPA(電力販売長期契約)

ストラクチャーについて

系統用蓄電池事業は、再生可能エネルギーの導入拡大を背景として、電力システムの安定化を支える重要な役割を担っており、その重要性は年々高まっています。2022年の電気事業法改正により、電力系統に直接接続される蓄電システムを活用し、複数の電力市場を組み合わせて収益を創出するビジネスモデルが確立されました。
さらに、国は系統用蓄電池の導入促進を目的とした補助金制度の拡充・強化を進めており、国のエネルギー政策に沿った取組として、普及が推進されています。

系統用蓄電池事業は、多額の初期投資を要することから、金融機関などからの資金調達が不可欠です。事業そのものが生み出す将来のキャッシュフローを返済原資とし、金融機関、投資家のリスクを限定することで、資金回収の確実性を高めるプロジェクトファイナンスが注目されています。
GATESでは、プロジェクトファイナンスの考え方を基盤に、ニーズに応じて柔軟に設計する「ストラクチャード・ファイナンス事業」を推進しています。これにより、事業性と資金調達の両立を実現し、系統用蓄電池事業の持続的な普及と成長に貢献していきます。

事業用地について

系統用蓄電池事業の用地選定は、「Ⅰ.探索」「Ⅱ.評価」「Ⅲ.取得」の3つのプロセスに分かれます。
この用地選定は、事業の成否を左右する極めて重要な工程です。太陽光発電の用地選定と比較して難易度が高いとされる背景には、系統用蓄電池特有の技術的・制度的に複雑な条件が存在します。用地選定の主なチェックポイントは、「系統の空容量」「土地面積、形状」「地目」「都市計画区域」「機器の搬入難易度」「ハザードマップ想定区域」「近隣住宅」「地盤」などです。
GATES では、これまでに培ってきた豊富なノウハウと実務経験を基に、系統工期の短縮が可能で、かつ事業性・安全性の高い用地選定を戦略的に進めています。

権利付き事業用地の
プラットホーム事業 『蓄託』


tiktak-logo

GATES が、2025 年 12 月 25 日にリリース


系統用蓄電池の用地選定が難しいのは、複数の技術的・物理的・経済的な条件をクリアする必要があるためです。GATES が運営する 「蓄託」は、供用開始までを急がれる事業者様や、希望するエリア(電力管轄)で事業用地をお探しの方、周辺環境への配慮を重視される方などに向けて、事業推進に適した用地の選定・取得を支援するプラットフォームです。

  1. 蓄電池向け用地マッチングに特化
  2. 売主・事業者を直接つなぐプラットフォーム
  3. ストラクチャード・ファイナンスを一体提供
  4. 全国対応・未公開案件にも対応

事業費について

  1. 蓄電池のマーチャントモデルでは、3つの電力市場(卸電力市場・需給調整市場・容量市場)からの収入を組み合わせることで、事業収益の最大化を図ります。
  2. 事業用地は収益を生む最大の基盤であり、用地選定の適否が事業の成否を決定づけます。
  3. 系統用蓄電池を構成するすべての機器が減価償却の対象となります。各種税制優遇措置を活用することで、初期導入費用の負担を大幅に軽減することが可能です。
  4. 再生可能エネルギーの普及に欠かせない系統用蓄電池は、温室効果ガスの排出を実質ゼロへと導き、企業の『脱炭素経営』を強力に推進する役割を担います。
  5. 経済産業省や東京都をはじめとする各自治体において、系統用蓄電池の導入を後押しする補助金制度が設けられており、これらを活用することで初期導入コストを大幅に抑えることが可能です。
系統用蓄電池の事業費は、
開発事業費と本体工事費に分かれます

  • • 工事費負担金: 電力会社の電力系統への連系工事に対する事業主の負担分
  • • 開発事業費: 用地取得費+連系工事費負担金+造成・整地費
  • ※用地取得費: 土地購入費+接続検討料+土地仲介費、測量費、登記費用、農転費用含む

事業フローについて

ストラクチャード・ファイナンス事業について

系統用蓄電池ストラクチャード・ファイナンス事業とは、系統用蓄電池事業から生じるキャッシュフローに着目し、事業会社本体の信用力に依存することなく資金調達を行う「仕組み金融」を指します。系統用蓄電池事業は、固定収入が見込まれるFIT(固定価格買取制度)案件である太陽光発電ビジネスとは異なり、電力市場における取引結果によって収益が変動します。このため、将来の収益性を評価することが難しく、融資の難易度が高くなる傾向があります。ストラクチャード・ファイナンスでは、系統用蓄電池を含む資産を倒産隔離した特別目的会社(SPC)等に譲渡し、当該資産および事業の価値に基づいて、レンダー(金融機関)や投資家から資金を調達します。GATES では、第二種金融商品取引業者であるグループ会社の G.I.F.T 株式会社が事業協力者として参画し、私募の取扱業務等を担います。

地域完結型スキームについて


  1. 電力の安定供給

    太陽光発電などが生み出す昼間の余剰電力を蓄え、需要が高まる夜間や悪天候時に供給することで、電力の無駄のない有効活用と、地域内での安定供給を実現します。

  2. エネルギー自給率の向上

    系統用蓄電池を導入することで、地域内で発電した再生可能エネルギーを地域内で消費する「電力の地産地消」が促進されます。これにより、遠距離送電に伴う電力ロスを削減し、地域全体のエネルギー自給率を高めることが可能です。

  3. 災害レジリエンスの強化

    大規模停電などの非常時には独立した地域電源として機能し、指定避難所や地域住民への電力供給を可能にすることで、災害に強いまちづくり(地域の強靭化・レジリエンス強化)に大きく貢献します。

  4. 地域経済への貢献

    遊休地の有効活用をはじめ、地方銀行や地域の発電事業者との連携を通じた資金の循環、地域内のエネルギーコスト削減、事業運営に伴う新たな雇用の創出など、地域経済の活性化に直結する大きな可能性を秘めています。

事業成功に必要なこと

  1. 事業用地の選定

    事業を成立させるためには、電力会社管轄エリアの選定に加え、連系に伴う「工事負担金」やEPC工事費をいかに抑制できるかが鍵となります。また、水害などの災害リスクが低いことや、他拠点への横展開(再現性)が容易な形状であることなどを総合的に評価し、慎重に用地を取得する必要があります。

  2. EPC(設計・調達・建設)の確保

    工期遅延や施工不良といった重大な事業リスクを低減するため、国内で高い信用力と豊富な施工実績を持つ企業(電力会社系や大手通信会社系など)を選定し、設計から建設までを確実に遂行できる体制を構築することが重要です。

  3. 蓄電池・PCS・EMSの厳選

    初期投資額の約7割を占める「蓄電池」と、収益の要となる需給調整市場へのアクセスや制御を担う「EMS(エネルギー管理システム)」、および「PCS(パワーコンディショナ)」は、コストと性能のバランスを見極め、慎重に選別しなければなりません。

  4. アグリゲーターの採用

    事業収益の安定化と最大化を図るためには、高度な電力市場での運用ノウハウを持つアグリゲーターの存在が不可欠です。単なる運用代行だけでなく、高い信用力を持ち、緊急時の対応実績が豊富なパートナーを選定することが求められます。

  5. O&M(保守・管理)体制の構築

    事業開始後は、設備の定期点検や修理、施設内の保安管理といった業務を専門の事業者に委託します。ダウンタイム(稼働停止時間)を最小限に抑え、15〜20年という長期間にわたって高効率かつ安全な運営を維持する体制づくりが必要です。

事業リスクについて

  1. 収益の不安定性

    太陽光発電のFIT制度(固定価格買取制度)のような売電価格の保証がありません。収益は対象エリア(各電力会社管轄)の市場価格や、アグリゲーターの運用手腕に大きく依存します。また、将来的な蓄電所の増加や、原子力発電所の再稼働による電力需給の変動が生じた場合、収益を圧迫するリスクがあります。

  2. 火災リスクと安全管理

    リチウムイオン電池は発火リスクを伴うため、厳格な安全管理が不可欠です。万が一発火した場合、消火が極めて困難であり、周辺地域を巻き込む大規模な災害に発展する恐れがあります。そのため、損害保険への加入や、24時間体制の監視システムの導入など、万全の火災対策が求められます。

  3. 長期運用コストの不透明性

    国内で事業モデルが本格化してからまだ数年しか経過しておらず、長期的な稼働実績が限られています。そのため、10〜20年といった運用期間において、蓄電池の劣化に伴う大規模な交換費用や、予期せぬメンテナンス費用がどの程度発生するのか、正確な予測が困難な状況です。

  4. 制度やルールの未確立・変更リスク

    蓄電池施設は建築物ではなく「第一種特定工作物」として扱う判断が国から示されましたが、市街化調整区域などでの設置基準については、今後も自治体ごとに変更が生じる可能性があります。また、主な収益源となる各電力市場の取引ルールも毎年改定が続いており、制度変更のたびに事業戦略の見直しを迫られるのが現状です。

  5. 海外製機器への依存とカントリーリスク

    設備機器、特に蓄電池本体の多くが中国をはじめとする海外企業の製品です。地政学的なカントリーリスクを考慮した投資リスク管理が欠かせません。関連事業者や機器を選定する際は、システムの品質やセキュリティ水準を客観的に担保する「JCスター認証」を取得しているかを確認するなど、より慎重な判断が求められます。

補助金について

系統用蓄電池の導入を支援するため、国や自治体による手厚い「補助金制度」が整備されています。 例えば、経済産業省が実施する「再生可能エネルギー導入拡大に向けた系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援事業」では、導入費用(設計費・設備費・工事費)の3分の1が補助されます。また、東京都が実施する「系統用大規模蓄電池導入支援事業」では導入費用の3分の2が補助されるなど、制度を活用することで初期投資を大幅に抑えることが可能です。

お問い合わせ

Contact us

事業に関するご相談は、
専門スタッフが対応いたします。

受付時間 平日 9:00〜18:00